黒いマントをまとった人物が、うなだれて立っています。足元ではカップが三つ倒れて中身がこぼれ、背後にはまだ二つのカップが無事に立っています。遠くには川に橋がかかり、その向こうに家が一軒見えます。
カップの5は、失ったものを前にした気持ちです。別れ、流れた契約、落ちた試験、取り返しのつかないひと言。元には戻らないとわかっていても、目はどうしてもこぼれたほうへ向いてしまいます。このカードは、その悲しみを責めません。倒れたカップは実際に三つあって、痛むのは当然なんです。
逆位置で出たときは、体が少しずつ向きを変えていきます。失ったものより残っているものが目に入りはじめたなら、立て直す力が戻ってきたということです。反対に読めるときもあります。悲しみをきちんと味わわないまま急いでふたをして、「大丈夫」と言っている場合。そういうときは、ずっとあとになって思いがけないところからまたこみ上げてきます。向き直ったのか目をそらしたのかは、本人がいちばんわかっています。
まずは背後にまだ立っている二つのカップが何なのか、数えてみましょう。残っている人、残っているお金、残っている時間。名前をつけてみると、思ったより少なくありません。
このカードを「全部失った」という意味だけで見ると、絵の半分を見落とします。いちばん大事なのは倒れた三つではなく、立っている二つ。橋もそうです。川を渡る道は、もうかかっています。
カップの6と一緒なら、過ぎたことに気持ちが長く縛られているサインです。星と並んで出たら、この悲しみが終わりへ向かっています。傷が癒えはじめたという意味です。
