大アルカナ1

魔術師
The Magician

正位置

実行・手腕・手持ちを使う

逆位置

口だけ・小手先・ごまかし

テーブルの上に棒・杯・剣・硬貨の四つがすべて並んでいます。片手は天を、もう片方の手は地を指しています。このカードの要点は才能ではなく材料です。必要なものはもう手もとにあって、残っているのは使うかどうかだけ。

魔術師が出たなら、能力は問題ではありません。できるのにやっていないか、持っているものを引き出しにしまいこんでいるか。こういうとき人は「あとひとつあれば始める」と言いがちです。資格をひとつ、貯金をあと少し、一緒にやる人をひとり。このカードはそのリストを、たいてい言い訳と見ます。四つの道具は、もうテーブルの上にあるのですから。

逆位置では、同じ材料が見当違いのところに使われます。話はもっともらしいのに実物が出てこない状態、あるいはその口のうまさで人を丸めこんでいる状態。器用さそのものに善し悪しはありません。舞台で使えば手品、裏通りで使えば詐欺です。いま誰を説得しようとしているのか、それが相手にとってもいいことなのか、一度ふり返ってみるときです。

このカードが本当に問うているのはひとつだけ。今日すぐ始めるとしたら、具体的に何が足りないのか。すぐに答えが出ないなら、足りないものは最初からなかったということです。

魔術師は、願いを何でもかなえてくれるカードだと誤解されがちです。でも結果を約束するカードではありません。ないものをどこかから調達してこいというのでもなく、実力でも時間でも人でも、すでにテーブルにあるものを手に取って、完璧に揃う日を待たずに今日使ってみなさい、という意味です。

準備は全部終わっているのに、一週間ノートパソコンの前でフォルダ名を変えてばかりいるなら、このカードは誰よりも耳に痛く響くでしょう。

女教皇と並んで出たら、知っていることとやっていることのあいだに開きがあるサイン。隠者と一緒なら、全部ひとりで抱えこもうとしている状態です。魔術師は能力を確かめてくれるカードで、その力をどこに向けるかは、たいてい隣のカードが教えてくれます。

魔術師 — タロット