黒い鎧を着た骸骨が白馬に乗って通りすぎ、王も聖職者も子どももその前にいます。はるか向こう、二つの塔のあいだからは日がのぼります。タロットでいちばん誤解されているカードです。実際に人の死を意味することは、まずありません。
死神のカードは、ひとつの時期が本当に終わることを語ります。関係が終わる、仕事を辞める、長く信じてきたものがもう合わなくなる。怖いのは悪い出来事だからではなく、後戻りできないからです。改善ではなく、終了。
その終わりは、たいていもう起きています。このカードが出ると人はこれから何が終わるのかを尋ねますが、ふつうはもう終わったことをまだ認めていないほうです。気持ちは離れているのに記念日だけ祝ってつないでいる関係、合わないとわかっていながら毎朝ため息をついて出勤する会社のようなもの。
逆位置では、その「認める」を先延ばしにしています。終わったものを抱えていると、次が来ません。うしろにのぼる日が描かれているのはそのためです。このカードでは、朝は終わったあとにしか来ないのです。
このカードが出す宿題はひとつ。何がもう終わったのかを一行で書いてみること。書いているうちに、いつ終わったのか、日付までくっきり浮かんできます。
「死」という言葉にまずおびえてしまいがちですが、このカードが指すのは関係や仕事、ひとつの時期のように、後戻りできない終わりです。怖いカード扱いされていますが、実は関係でも仕事でも、もう終わっていると本人もわかっているのに整理できず、何か月もずるずる引きずっている人の前によく出てきます。
何か月も先延ばしにしていた退職のメールを送った翌朝、思ったより体が軽かったという人は少なくありません。
世界と一緒に出たら、ひとつの時期がきちんと閉じます。悪魔と重なれば、終わらせなければいけないとわかっていながら終わらせられずにいるという意味。死神は後戻りできないと言っているのであって、悪いと言っているのではありません。
