犬と狼が月に向かって吠え、ザリガニが水から這いあがり、二つの塔のあいだを道が続いています。月の光はすべてを照らしはしません。輪郭だけを残して、見慣れたものまでよそよそしく見せます。
月が出たら、たいていは何かがはっきりしない場面です。相手が何を考えているのかわからないし、この件がどこへ向かうのかもわからない。このカードは悪いことがあるとは言いません。見えない、と言うだけです。
ところが人は、見えないとその空白を悪いほうで埋めてしまいます。返信のない三時間で、頭の中では別れのシナリオがもう完成している。警戒すべきは、むしろそちらです。
不安のカードでもあります。これまで心配したことのうち、実際に起きたのはいくつだったか数えてみなさい、と言うカードです。犬と狼はもとは同じ獣。片方は家に入れ、片方は怖がるのに、月明かりの下では見分けがつきません。
逆位置は、たいていよい意味に読みます。霧が晴れて、隠れていたものが見えてくる。長くあいまいだった関係に区切りがつくか、ずっとおかしいと思っていたことが事実だと確かめられるか。すっきりするばかりではないかもしれません。それでも、知らないよりはましです。
うそや裏切りと決めつけて読まれることもありますが、実は見えているものがすべてではないだけです。だます人がいるというより、まだ輪郭がつかめていない。夜道が怖いのと同じで、いま感じている不安の多くも、本当の危険ではなく見えないことから生まれています。
このカードが出たなら、決断を何日か先延ばしにしても、損をすることはあまりありません。
月は長くとどまる状態ではなく、通りすぎる区間です。女教皇が一緒なら、まだ口にするときではありません。太陽が見えれば、まもなく晴れます。
