クイーンが水辺の玉座に座り、両手で装飾の多いカップを持って、じっと見つめています。カップにはふたがついていて、カップのカードの中でふたつきのカップはこの一枚だけです。玉座には水の精のような小さな姿が彫られ、足元では小石の間に波が寄せてきます。
カップのクイーンは、人の気持ちを深く汲み取る人です。まわりにひとりはこういう友達がいるものですし、自分がその役を担っていることもあります。言われなくても相手に何が必要かに気づき、話を聞くだけで人を楽にします。友達がつらいことがあったとき真っ先に電話する相手、会議で黙っていた同僚の表情をいち早く読み取る人。このカードが出るのは、解決策よりも、そばにいることのほうが大きな助けになるときです。
逆位置で出たときは、境界線がぼやけます。人の気持ちに深く入り込みすぎて、自分の心まで振り回される場合がひとつ。友達の失恋話を聞いて帰ってきて、自分が三日寝込むなら、こちらです。もうひとつはその逆で、自分の気持ちに沈み込んでまわりが見えなくなっている場合。どちらも、カップのふたを忘れているんです。助けるとしても、その感情まで自分のものとして持ち帰る必要はありません。
カップのクイーンが問うのはこうです。人の心をこれほど気にかけているあいだ、自分の心は誰が気にかけているでしょう。
「やさしい人」とだけ読むと見落とすことがあります。クイーンのカップが閉じていることです。深く共感しながらも、何でも受け入れるわけではありません。そのふたのおかげで、人の感情を受け止めながらも自分を見失わずにいられるんです。
女教皇と一緒なら、直感が重なってさらに確かになります。言葉で聞く前に、もうわかっている状態です。ソードのキングと並んで出たら、心と判断がつり合います。共感はしても、決めるときは冷静に決める場面です。
