大アルカナ15

悪魔
The Devil

正位置

しばられる・欲望・やめられない

逆位置

解放・向きあう・鎖をはずす

二人が首に鎖をかけて立っていますが、鎖の輪は首よりずっと大きいのです。その気になれば頭を抜けます。このカードの要点はそこにあります。閉じこめられているのではなく、出てこないだけ。

悪魔が出たら、たいていやめなければいけないものをやめられずにいる場面です。深夜二時に開く通販アプリかもしれないし、お酒かもしれないし、自分をすり減らす関係や、とっくに辞めるべきだった仕事かもしれません。共通しているのは、毎回「これが最後」と言うこと、そして毎回もっともらしい理由がつくことです。

このカードが冷静なのは、その状態にも得るものがあると見ているからです。何の得もなければ人はやりません。楽だから、慣れているから、やめたら向きあわなければいけないものがあるから続けるのです。そこを認めずに、今度こそ本気だと意志の力だけでやめようとする計画は、三日ほどもってたいてい元に戻ります。

逆位置のほうがむしろよく読める珍しいカード、それが悪魔です。鎖がゆるかったことに気づき、もう片足を抜きかけています。ただ、抜けだす道はたいていひとりでは進めません。一緒にやめる人の集まりでも、スマホを預かってくれる友だちでも、誰かがそばにいる必要があります。ここで助けを求めるのは弱いからではなく、それが方法だからです。

誰かにたぶらかされたとか、呪いをかけられたとかいうカードではありません。このカードの鎖は、たいてい自分の手でかけたものです。断ち切れないのではなく、まだ断ち切りたくない部分が残っている。その部分がくれるなじみの心地よさは、「明日から本当にやめる」という決意より、いつも一歩しぶといのです。

そのことを正直に認めるところから、抜けだす道が始まります。

恋人と一緒に出たら、関係のほうのしばりです。魔術師と重なれば、能力を見当違いのところに使っているという意味。悪魔は対象を自分からは言わないカードなので、隣のカードがとくに大事です。

悪魔 — タロット