雷が塔のてっぺんを打ち、王冠が吹き飛び、二人が落ちていきます。タロットでいちばん荒々しい絵です。やわらかく読む方法は、あまりありません。
塔が描くのは突然の崩壊です。解雇、別れ、事故、信じていた人の知らなかった顔。共通しているのは、予告がなかったことではなく、予告を見ていなかったこと。塔にはもともとひびが入っていて、雷はきっかけにすぎなかったケースがほとんどです。
せめてもの救いは、くずれるのがたいてい、もともともろかったものだということ。しっかり建てたものはくずれません。無理につないでいた関係、数字をエクセルの非表示で隠していた事業、違うとわかっていながらしがみついていた計画。くずれてみてはじめて、それがどれほど無理をして立っていたかが見えます。
逆位置では、まだくずれていない状態と読みます。もうわかっていながら時期だけ先延ばしにしているか、誰も触れないでくれと願いながらかろうじて持ちこたえているか。このとき選べるのは二つ。くずれるのを待つか、自分から先に取りこわすか。どちらも痛みます。持ちこたえているあいだも、心は毎月少しずつ削られていきます。それでも自分から取りこわせば、いつ、どうくずれるかは自分で決められます。
塔は災厄だけのカードではありません。くずれるのは確かですが、くずれるのはそもそも間違って建てられたものです。突然に見えるのも、たいていはずっと前から少しずつ広がっていたひびを、忙しいことを言い訳に、あるいはのぞきこむと面倒になるからと、見て見ぬふりをしてきたからです。
だからこのカードは損失を知らせると同時に、これまで自分が何にしがみついていたのかも、はっきり見せてくれます。
星と並んで出たら、くずれたあとがもう見えています。悪魔と重なれば、くずれると同時に鎖も切れます。塔は一枚だけで見るとかなり怖いカードです。続くカードまで見れば、おおむね耐えられるものです。
