改革する人
頭の中に「これはこうするのが正しい」という物差しがいつも置いてある人です。人より先に、自分に厳しくなります。
報告書の誤字ひとつで眠れなくなったのに、その報告書、ほかの人は最後まで読んでいませんでした。
- 望んでいること
- 恥じるところのない、正しくまっすぐな生き方をしたい。
- 恐れていること
- 自分が間違った人間、だめな人間になってしまうのが怖い。
どんな人?
飲み会の会計を会社のカードで払うとき、誰かが「領収書はざっと撮っておけば大丈夫ですよ」と流したとします。このタイプはにこやかにうなずきながらも、帰り道ずっとその一言が引っかかったまま。結局、翌朝に精算シートを開いて金額をひとつずつ照らし合わせます。誰かに言われたからでも、怒られるのが怖いからでもありません。
ただ、そうしないと胸を張れないんです。ランチを決めるときも「なんでもいい」がなかなか出てこないし、グループLINEのお知らせの日付が間違っていると、訂正を送るかどうか五分ほど悩みます。心の中にはいつも小さな審判が座っていて、人より先に自分に点数をつけているんです。
その審判のおかげで、このタイプが引き受けた仕事は安心して任せられます。締め切り前日にまとめて片づけることはまずなく、ほかの人が見過ごす数字ひとつ、一文ひとつを最後まで手放さないので、あとで起きるはずだったトラブルを先に防いでしまいます。「みんなそうしてますよ」という言葉にはあまりなびかず、不公平だと思えば損をしてでも口に出すほうです。
チームにこういう人がひとりいると、ルールは壁に貼られた紙ではなく、本当に守られる約束になります。ほめられたくてやっているのではなく正しいからやっているので、誰も見ていない場所でも同じ基準で動きます。
困るのは、その物差しが休む時間がほとんどないこと。週末に休んでいても頭の中のやることリストが消えず、人の雑な仕事を見ると腹が立つのに、それを顔に出してはいけないとまたぐっと抑え込みます。そうしてたまったイライラが、思わぬところで鋭い一言になってこぼれることもあります。
このタイプに「完璧じゃなくていいんだよ」はあまり効きません。かわりに、一日にひとつくらい「これは八十点でよし」と先に決めておくのが効果的です。
基準を捨てるのではなく、基準を使う場所を選ぶということです。
こんなところ、ありませんか?
- ほめられても、物足りなかったところが先に浮かびます。
- ゴミの分別や列の割り込みを人が守らないと、いつまでも気になります。
- 腹が立っても顔にはあまり出さず、がまんするほうです。
- 説明書やお知らせは最後まで読んで、そのとおりにやります。
- 自分がミスした場面を、何日も頭の中で繰り返し再生します。
五つのうち三つ以上うなずけたら、このタイプの解説をもっと読んでみる価値があります。
強みと弱み
- 誰も見ていないところでも、同じ基準で仕事をします。
- ほかの人が見逃した小さなミスに、先に気づきます。
- 不公平なことには、損をしてでも声を上げます。
- 休みの日でも、やることリストが頭から消えません。
- がまんしたイライラが、思わぬところで鋭く飛び出します。
- 人にも自分にも「このくらいでいい」がなかなか言えません。
心の状態でこう変わります
- 健全なとき
- 善し悪しははっきりわかっていても、人には寛大です。自分の基準を人に押しつけず、静かにお手本になって、まわりが自然とついてくるようにします。
- ふだん
- やるべきこととやってはいけないことで、一日をびっしり埋めます。人のやり方が気に障ってもがまんするほうですが、口調に少しずつとげが出はじめます。
- しんどいとき
- 自分が正しいという確信が固まって、ほかの意見をまったく聞かなくなります。人を責め立てながら、自分が守れなかったルールのせいで、いっそう自分を嫌いになります。
同じタイプでも、心の状態によってかなり違って見えます。エニアグラムではこれを「発達レベル」と呼びます。
よく言うこと
- やるなら最初からちゃんとやろう
- いや、怒ってないってば
- これ、誰がこうしたの?
やってみるといいこと
- 腹が立ったら「今ちょっと怒ってる」とひとことで言ってみてください。がまんして思わぬところで爆発するより、ずっと角が立ちにくくなります。
- 人の仕事を直したくなったら、十分だけ待ってみてください。それでも直す理由が残っているか、そのとき決めても遅くありません。
- 正解も不正解もない趣味をひとつ始めてみてください。落書きや思いつきの料理のように点数をつけられないことが、頭の中の審判を休ませてくれます。
恋愛・仕事・友だち
- 恋愛
- 好きな人の前でも頼れる姿を見せたくて、待ち合わせの時間や記念日はきっちり守ります。ただ、相手のクセが気になると「それ、こうしたほうがよくない?」が先に出て、小言に聞こえがちです。直してほしいことより「ありがとう」をもう一回言うほうが、関係はずっと柔らかくなります。
- 仕事
- 基準がはっきりしていて、品質が問われる場所で本領を発揮します。検品や精算、規程のように人が面倒がる仕事を正確にこなし、筋の通らない指示の変更にはまず理由を聞きます。ひとりで全部直そうとして疲れやすいので、どこまでが自分の担当かを先に線引きしておくといいでしょう。
- 友だち
- 約束に遅れることはほとんどなく、借りたものは必ず返す友だちです。集まりの会費精算はたいていこの人の役目になり、その精算表は一円単位まで合っています。友だちが悩みを打ち明けると、正しい答えを出そうとして少し厳しくなることがあります。
いいときと疲れたとき
エニアグラムでは、タイプは生まれ持ったものと考えます。人生の中で変わるのはタイプではなく、そのタイプが良い形で出るか、悪い形で出るかです。
- いいとき・タイプ7の方向へ
- エニアグラムでは、このタイプが健全なときはタイプ7の良い面に近づいていくとよく言われます。物差しをいったん置いて、今この瞬間を気軽に楽しめるようになるということです。 タイプ7「熱中する人」の解説を見る →
- 疲れたとき・タイプ4の方向へ
- 反対にひどく疲れると、タイプ4の暗い面が出てくると考えます。誰もわたしの努力をわかってくれないという寂しさにはまり、ひとりで沈み込みやすくなります。 タイプ4「個性を求める人」の解説を見る →
エニアグラムの理論でよく語られる話です。研究による裏づけはまだ弱いので、参考程度に見てください。
混同されやすいタイプ
いちばんよく混同されるのはタイプ6です。どちらもルールをよく守りますが、タイプ1は心の中の基準が正しいと思うから従い、タイプ6はそのほうが安全だと感じるから、信頼できる外の基準に頼って従います。
両隣のウイング
両隣のタイプのうち、より似ているほうをウイングと呼びます。同じタイプでも、ウイングによって雰囲気が違って見えます。
落ち着いていて、一歩引いたところにいます。正しいことは守りつつ、声を荒らげるより静かに正していくタイプです。
- 感情を表に出すより、心の中で消化して整理します
- ひとりで静かに作業するときに、いちばん丁寧になります
- 言い争うより、原則をルールとして定めておくほうです
気をつけたいこと がまんした不満がたまると、一気に冷たく線を引くこともあります。
タイプ9「平和をもたらす人」の解説を見る →導く人正しいことを、人のためにやります。温かい一方で、人を正してあげたい気持ちが、つい小言になってしまうこともあります。
- 人がうまくいくように、自分から進んで教え、手を貸します
- 不公平なことを見ると、そのままにしておけません
- ほめることも指摘することも、惜しみません
気をつけたいこと 「あなたのためを思って」が、相手には干渉に聞こえることがあります。
タイプ2「助ける人」の解説を見る →