平和をもたらす人
みんなが居心地よければそれでいい、と思う人です。ぶつかりそうになるとひとまず流して、心の中で静かに耐えます。
「わたしはなんでもいいです」と言ったけど、本当はそのメニュー、いまいちでした。でも言うのが面倒でした。
- 望んでいること
- 心を揺らさず、穏やかに過ごしたい。
- 恐れていること
- 誰かとこじれて、関係が切れてしまうのがいちばん怖い。
どんな人?
飲み会の店を決めるとき、このタイプはいつも「わたしはどこでも大丈夫です」と言います。本当にどこでもいいからというより、自分の意見を出して誰かが気まずくなる場面のほうが嫌なんです。グループLINEでふたりがとげのある言葉を交わしはじめたら、さりげなくおもしろいスタンプを送って空気を変え、上司が無茶なスケジュールを言っても、その場ではうなずきます。
そのかわり、仕事が終わるとYouTubeをつけっぱなしにして、何も考えずに何時間も過ごします。そうしないと、揺れた心がなかなか落ち着かないんです。このタイプにとっていちばん大事なのは勝つことではなく、誰ともこじれずに今日が無事に終わることです。
だから、この人のそばは居心地がいいんです。話をさえぎらずに最後まで聞いてくれて、立場の違うふたりのどちらの言い分もわかってくれるから。部署同士でぴりぴりしているときに「どっちも正しいんだけど、こう分けたらどうです?」と接点を見つけ出す人は、たいていこのタイプです。
めったに熱くならないのでピンチのときはかえって落ち着いていて、誰にでも公平に接しようとします。目立ちはしなくても、チームが回る土台を支えている人です。集まりにこの人がいないと、なぜか場の空気がどこかぎこちなくなることに、みんなあとになって気づきます。
落とし穴は、人の平和を守るうちに自分の声をなくしてしまうこと。「なんでもいい」が積み重なると、本人も自分が何をしたいのかわからなくなり、嫌だと言えないまま抱えた仕事には、先延ばしという形で静かに抵抗します。やるべきことはわかっているのに、散らかった引き出しをいじったり、通販アプリを眺めたりしているうちに一日が終わる、という具合です。
今週一回だけ、メニューでも予定でも「わたしはこれがいいです」と先に言ってみてください。思ったほど、誰も気まずくなりません。
むしろ、ありがたがる人のほうが多いはずです。
こんなところ、ありませんか?
- 「どう思う?」と聞かれると、頭が真っ白になります。
- 慣れたものが楽で、いつもの店でいつものメニューを頼みます。
- 腹が立ってもその場では気づかず、何日もたってから傷ついていたとわかります。
- 誰かが意地を張ると、言い返すかわりに黙って自分のやり方でやってしまいます。
- 人の頼みごとから片づけていると、自分の仕事には手もつけられないまま一日が終わります。
五つのうち三つ以上うなずけたら、このタイプの解説をもっと読んでみる価値があります。
強みと弱み
- 最後まで聞いてくれるので、誰でも気軽に打ち明けられます。
- 違う立場の間に、接点を見つけ出します。
- 急な場面でも、簡単には揺らぎません。
- 「なんでもいい」が積み重なって、自分が何をしたいのかわからなくなります。
- 嫌だと言うかわりに、先延ばしで抵抗します。
- やるべきことを前に、別のことをして一日を過ごします。
心の状態でこう変わります
- 健全なとき
- 自分が何を望んでいるかはっきりわかっていて、必要ならぶつかることも避けません。揺るがない落ち着きに自分の声が加わって、人を実際にひとつにまとめます。
- ふだん
- ことが大きくならないよう、たいていは合わせて、慣れた日常に安らぎを見つけます。大きな決断は「あとで考えよう」と先送りにし、毎日を無難にやり過ごします。
- しんどいとき
- 問題が大きくなっても、ないことのように目をつぶって動きません。誰かに責め立てられると黙ったまま頑固に居座り、自分でもぼんやりと何も感じなくなります。
同じタイプでも、心の状態によってかなり違って見えます。エニアグラムではこれを「発達レベル」と呼びます。
よく言うこと
- まあ、丸く収まればいいよ
- ほっとこう、そのうちなんとかなるよ
- うーん……ちょっと考えてみるね
やってみるといいこと
- 体を動かすことを一日の予定に入れておきましょう。夕方に二十分歩くだけでも、ぼんやり流れていた時間が目に見えて減ります。
- モヤッとしたことがあった日は、夜にメモ帳に一行だけ書いてみてください。たまる前に、自分の気持ちに先に気づけるようになります。
- 頼まれごとをされたらすぐに「はい」と言わず、「確認して連絡しますね」と時間を稼いでみてください。本当にやりたいかを考えるすき間ができます。
恋愛・仕事・友だち
- 恋愛
- 一緒にいると安心できる恋人です。相手の好みに合わせるのが自然で、けんかが嫌いなので、たいていのことは流します。ただ、寂しさをため込んでずっとあとで爆発したり、気持ちがすっかり冷めてしまったりすることがあるので、小さな不満をその都度出すほうがかえって関係を守ります。
- 仕事
- いろいろな人の意見を集めて調整する場面で本領を発揮します。プレッシャーが強かったり衝突が多かったりするチームでは、表向きは平気でも内側で疲れていきます。優先順位を人が決めてくれるのを待つより、一日の最初の仕事をひとつ自分で決めておくと、先延ばしのクセがぐっと減ります。
- 友だち
- 誰とでも無難になじめる友だちです。待ち合わせ場所もメニューも合わせてくれて、友だち同士がぎくしゃくすると、さりげなく橋渡しをしてくれます。ときどき「わたし、これがやりたい」と自分から提案すると、友だちはもっと喜びます。
いいときと疲れたとき
エニアグラムでは、タイプは生まれ持ったものと考えます。人生の中で変わるのはタイプではなく、そのタイプが良い形で出るか、悪い形で出るかです。
- いいとき・タイプ3の方向へ
- エニアグラムでは、タイプ9が健全なときはタイプ3の良い面に近づいていくと考えます。先送りにしていたことに自分でエンジンをかけ、自分が望む目標を決めて最後までやり抜く力が出てくるということです。 タイプ3「達成する人」の解説を見る →
- 疲れたとき・タイプ6の方向へ
- エニアグラムでは、タイプ9が大きく疲れるとタイプ6の暗い面が出てくると考えます。いつものおおらかさが消えて心配が次々とわき、人の言葉に妙に疑いを持って不安になりがちです。 タイプ6「忠実な人」の解説を見る →
エニアグラムの理論でよく語られる話です。研究による裏づけはまだ弱いので、参考程度に見てください。
混同されやすいタイプ
タイプ5(調べる人)やタイプ2(助ける人)とよく混同されます。タイプ5も引き下がりますが、それはエネルギーを節約して力を蓄えるためで、タイプ9は平和を守るために引き下がります。タイプ2も人によく合わせますが、それは必要とされる人になりたいからで、タイプ9はただぶつからずに楽でいたいからです。
両隣のウイング
両隣のタイプのうち、より似ているほうをウイングと呼びます。同じタイプでも、ウイングによって雰囲気が違って見えます。
おおらかでも、必要なときはきっぱりしています。人と人の間を、現実的にまとめてくれます。
- もめごとが起きると、両方の言い分を聞いて現実的な答えを出します
- 穏やかでも、一線を越えられたらはっきり言います
- 体を動かすことや外での活動から力をもらいます
気をつけたいこと がまんしてためた怒りが、思わぬ瞬間に爆発することもあります。
タイプ8「挑戦する人」の解説を見る →夢想家物静かで、理想が高いタイプです。心の平和と、筋の通った秩序の両方を望んでいます。
- 静かな日常と、整った空間が好きです
- 言い争うより、正しいやり方で解決することを望みます
- 自分の考えはあっても、あえて前に出しません
気をつけたいこと 心の中の基準と、人に合わせたい気持ちの間で、決断を先延ばしにしがちです。
タイプ1「改革する人」の解説を見る →